ダブル ノットのガット張り

 

ガット張りの強さについて 当店では ガット張りの信頼性を高めるため、定期的に ガット張り機がガットを引っ張る強さを測るテンション測定器(デジタル)で測り、指定していただいた通りの強さでガットを引っ張って張ります。


ラケットの
    変形について
最近 いただくメールの中にラケットの変形についていただくメールがいくつかありましたのでそれについて私の考えを書きます。
・・・ラケットが変形しているのを見つけたのですが このまま使っていると どうなるのですか。・・・etc.

 ラケットの素材はおもにカーボン繊維でできています。ですから本来の形から 違う形に変形させた場合 変形させた部分の繊維が 本来エポキシ樹脂(カーボンをラケットの形状にするための接着及び形状安定剤みたいな物)でくっつけられていた繊維どうしが はがされてしまい、本来の性能が出なくなります。
 例えば 竹ひごを曲げていくと 曲がっていくうちに竹の繊維が少しずつ剥がれていくのがわかると思います。
これと同じで変形した部分は 本来の強度がなくなり弾力も極端になくなります。
ですから ラケットの変形を見つけたら ガットはすぐに切って張り替えるべきです。

 では 変形したままほっておくとどうなるかというと ボールが飛ばなくなる(腰が抜けた感じ)・スィートスポットがボケた感じになる・折れやすくなる・というようになります。
 本来 週2・3回テニスをして1〜2年ぐらいでへたりが出てくるラケット(大体2年ぐらいでラケットは寿命です。)が 変形したまま使えば 買って1ヶ月でも ラケットの本来の性能からいえば 寿命 になってしまう ということです。


当店のガット張りの考え方は、「ラケットにできるだけに負担をかけないように」「ラケットをできるだけ変形させないように」張ることです。

基本の基の部分ですが ガット張りの基本的な考え方になります。



ラケットはガット張り機にセッテッングしたときに比べ 縦糸を張っただけの状態では何ミリか横に膨らみます.縦部分はガッチリ固定していますが短くなります。

この膨らみ(変形)を横糸を張ることで元の形に戻していくわけですが 
ラケットを張り機にセッティングした時 ラケットフェイス0時・6時方向は内側から 10時、2時、8時、4時は外側からラケットを固定して変形しないようにしていますが 変形します。

これがラケットにはすごく負担になります。



















ラケットに縦糸を張ると ラケットは横方向に何ミリか膨らみます。
この膨らみを横糸を張ることでラケット本来の原型に戻すという作業がガット張りの作業なのですが 横糸をどこから張り始めるかということが大事になります.

なぜなら 例えば 縦・横50ポンドでガットを張リ 左図 A・B・C・D・Eの横線が縦糸を張ることによって1ミリ・3ミリ・5ミリ・3ミリ・1ミリ横に広がったと仮定し、C(5ミリ広がった)からAに向かって横糸を張ったあとに残りCからEに張った場合(ラケットセンターからラケットトッツブに張り上げ、残りセンターから下に張りおろす いわゆるセンター張り)、張りあがった時 始めに張ったCはどんな強さになるか?

5ミリ横に膨らんでいたCが張り終わったとき膨らんでいない状態に戻るのだから Cは5ミリ長かったガットが元に戻るのだから 55ポンドで張ってあるCの横糸は5ミリ分軟らかくなる.

なぜなら 張り始める時 5ミリ膨らんでいるところに55ポンドの力で張力をかけていたのが 横糸を張り終わってみるともとの長さ(0ミリ)になっていのだから.

【2025/04/16、追記+右画像追加】
右画像は CX400を48Pで張る画像です
張っていない状態でおおよそ横:268mm/縦:355mm
タテ糸を張った状態でおおよそ横:273mm/縦:350mm
ヨコ糸を張った状態でおおよそ横:266mm/縦:353mm
張り上がると若干ですがフェイス面は小さくなります。
真ん中から張る場合、張初めは273mmですが出来上がりは266mmになるわけだから7mm分ガットは緩くなりますね。


つまり 横糸を同じ強さで張る限りA・B・C・D・Eどこから張り始めても張り始めた部分より後で張れば張るほど 張り始めた部分より張力は強くなるということです。

ですから意識的に弱い部分と強い部分を作ることができます。

私は ラケットを変形させない限り 横糸は強いところと弱いところを作った方が ストリンガーの主張が出てよいのではないかと思っています。



最近、ラケットの変形が目立って増えていると思います。
タテにつぶれたラケットが目につきます。

メーカーもわかっていないようで ちょっとビックリ。SとかVとか。20数年前に公開した内容ですが 追記を入れてみました。

当店では特別な事がなければ 1本張りでガットを張ります.
・・・・理由は ガットを張り終わったとき縛ることにあります。
1本張りだとガットの両端終わり部分の2箇所、2本張りだと4箇所ガットを結ぶことになりますが
どうしてもこのとき(ガットを縛る時) ガットが緩みます これが私は嫌いだから 1本張りで張ります。
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